2026年 03月 29日
全知的な読者の視点から

何が気になったかというと、主役がアン・ヒョソプとイ・ミンホだということ!
この二人の俳優はまったくキャラクターのイメージが違うので、共演するには違和感がありすぎると私は思いました。どうやってこのケミの合わない大スター二人を使って物語を展開するの?と興味津々。
それともう一つの気になる点は、この映画のタイトルです。
「全知的な読者の視点から」って長すぎるし哲学的だし、なんだこのタイトル?と思いました。
元々はWEB小説で、それが漫画化され世界中で大ヒットしている作品なのだそうです。
この映画はその映画化で、原題が「전지적 독자 시점(全知的読者視点)」なんですね。
小説の世界に紛れ込んでしまう青年の話なので、現実的な話以外は受け付けないという方には厳しいかもしれませんが、一緒になってファンタジーの世界に入り込んで楽しめる方にはとてもおもしろい映画だと思います。
私は全然知らなかったのですが、この映画は台湾や香港などで大ヒットしています。残念ながら韓国ではコアな原作ファンからの批判が多く観客動員数は伸び悩んだようですが(それでも100万人超え)、この作品は莫大な制作費がかかっている大作なので、日本でももっと評判になってヒットしてほしいな。
ネタバレあり
【簡単なあらすじ】
キム・ドクシャは平凡なサラリーマン。少年の頃より大好きなWEB小説があって10年以上ずっと愛読し、小説に支えられて生きてきました。
読者はどんどん減り、今は閲覧しているのは自分1人だけ。そしてその小説がついに最終回を迎えます。小説の主人公ユ・ジュンヒョクに憧れ、ジュンヒョクのように強くなりたいと思い続けたドクシャですが、ジュンヒョクが皆を犠牲にして一人だけ生き残った結末が許せません。思わず作者に「この小説はテーマが最悪だ」と電車からメールしてしまいます。
ところが、作者から「エピローグは読者からの投稿を採用します。自分の望む結末で完結させてください」というメッセージが送られてきます。
そして突然ドクシャが乗っていた電車に異星人(トッケビ)が現れ、電車の中は小説冒頭の殺戮ゲームの場へと変わっていくのです。
自分だけがこの小説を知っている・・・。ドクシャはみんなに解決策を伝え、周りから「予知能力があるのか?」と言われます。でも、簡単にゲームをクリアできる人物が紛れ込んでいると気づいた主催者はゲームの難易度をさらに上げてきます。
小説に描かれていない未知の試練が次々とドクシャたちを襲います。ドクシャはこの世界の難題をクリアして自分が望む通りのシナリオを完成させることができるのか!
というお話なんですが、「読者」は韓国語で「독자(ドクチャ)」と言います。なので、主人公の名前はキム・ドクチャです。この名前が日本語訳では「ドクシャ」になってました。小説の唯一の読者であるドクシャの視点で見た世界を描きます。
このWEB小説も漫画も読んだことがないので、映画化されるにあたって改編されたストーリーが気に入らないというファンの気持ちには寄り添えないのですが、私はこの映画のストーリーはとてもしっかりしていると感じました。
もしこれが敵を倒すだけのゲーム感覚で描かれていれば、これほど楽しめなかったかもしれません。
敵を倒せばコインが手に入るとか、コインで武器や筋力を手に入れるとか、そういうのはあまり興味ないので。。。^^;
それよりも、「なぜ世界はこうなった?」「なぜ人間たちは罰を受けているのか?」という疑問を抱いた彼らが、極限状態にある人間の醜さを目の当たりにして苦しむシーンに共感しました。そして、人間のかたちをして力によって人を支配しようとしている怪物や、人を過去の辛い記憶の中に閉じ込めてしまう闇の番人たちを、みんなで力をあわせて退治してミッションをクリアしていく姿が尊いのです。
特に「闇の番人」が興味深かったです。ドクシャを始め仲間たちも勇敢に見えて、ずっと辛かった記憶に心を縛られています。「誰かを犠牲にした」「人を救えなかった」という経験が彼らの心に深い傷を残しました。そしてその傷を乗り越えるために、彼らはこの戦いに挑み続けます。
ドクシャはずっと憧れてきた小説の主人公であるジョンヒョクをもう完全には信頼していません。
でもジョンヒョクは小説の主人公。彼が死んだらすべてが消滅してしまい、自分も生き残れません。
ジョンヒョクを守りたい。そしてジョンヒョクができなかったことを自分は成し遂げたい。
最後まで仲間と共に生き残るシナリオを完成させてみせる。まだチャンスはある。諦めない。
この展開が好みすぎて、興奮しました。(笑
ゲームを主催しているのが地球外生命体のようで、ミッションの模様は「星流放送」というメディアで配信され、どこかの星座で見ている者たちがいます。この世界観が壮大でユニーク。そして自分も登場人物たちの活躍を天から見下ろして応援しているような不思議な感覚に陥りました。
主人公のドクシャを演じるのはアン・ヒョソプ。(↑)
188cmもある長身のイケメンで、TVドラマ界のトップスター。驚くことに映画出演は初めてなのだそうです。
私の偏見かもしれないけど、彼にはキリリとした強い印象はなくて、どちらかと言えばソフトなイメージです。だけど演技力はあります。「いつかの君に」の幅広い年齢の演じ分けもうまかったですね。
ドクシャは学生の頃からいじめられっ子で、自分の世界に引きこもって生きてきて、大人になってサラリーマンになっても人に興味がなく、はっきりした目標もなく、なんとなく覇気がありません。
そんな彼が小説の世界に紛れ込んで、新たなストーリーを作るために戦いながら、どんどん強くなっていきます。内に秘めていた力と勇気、そして本来持っていた優しさが一体となって、敵に向かっていきます。
その人物像にアン・ヒョソプがぴったり合うんです! この「やる時にはやる」というキャラが最高ですね。^^
そして、アン・ヒョソプとの共演に違和感を抱いていたイ・ミンホ(↑)は、映画の中の小説「滅亡した世界で生き残る3つの方法」の主人公。現実世界に住むアン・ヒョソプとは別の虚構の世界の人物なので、この配役もピッタリはまっていました。彼もTVドラマ界ではトップスターだけれど、映画の出演本数はそれほど多くありません。私は10年振りにお姿を見たのですが、相変わらずかっこいいですね。ジョンヒョクがどういう人物なのか、まだよくわかっていません。ドクシャを試しているようなところもあるし、味方とも言い切れない何か思惑がありそうです。
ドクシャの仲間として大活躍のヒウォンを演じるのがアフタースクール出身のナナ(↑)。
出演作を何本も見ているけれど一番私が顏認識できないタイプの美女でまったく注目していませんでした。
でもこの映画の彼女は光っていたと思います。運動神経もいいし、スタイルも抜群、表情も精悍で強い意思を感じさせる素敵な女優です。彼女が登場した時、ドクシャは思わず「この小説でうまく活躍できなかったキャラだ。だからこそ僕が一番応援したいと思った人物だ」と心の中でつぶやきます。陰キャラだった彼女を映画は前面に押し出して応援してるんですね。
ドクシャの会社同僚役のチェ・スビン(↑)は、電車での会話だけの出演かと思ったら、ドクシャと一緒に現実からいきなり小説の世界に入り込んでしまいます。初めて見る女優じゃないのに、ナナ以上に顔認識ができません。
彼女は逃げてるだけかと思ったら、意外な秘密兵器を手にして後半は大活躍でした。
まったく事前情報を得ずに見てるから、シン・スンホ(↑)が登場したときは思わず声を上げそうになりました。
強靭な肉体を持つ軍人で、どんな怪獣にも立ち向かっていく勇気があるのに、過去のトラウマに苦しんでいます。これはシン・スンホにピッタリの役ですね。
このクォン・ウンソン君はドラマに映画に引っ張りだこの今一番売れてる子役じゃないでしょうか。最近もNetflixの「大洪水」という映画に出てました。
この映画で私の最推しのキャラは彼が演じるギリョンです。何と言ってもこの子は昆虫好きで虫とテレパシーで心を通わせることができるのです!そしてネタバレしちゃうのですが、彼は巨大カマキリを操って怪獣と戦ってくれます!!!カマキリの動きがリアルだったわ~。カマキリ好きとしては感動しました!^^
ただ、ちょっと妙だな。この子の親は?巨大カマキリはどこから来た?見た目がトッケビに似てないか?
謎が多すぎて、この子が小さいうちに続編を撮ってください。
小説を読んでる人は「おおっ!」と思うんでしょうが、あの子の登場は唐突すぎて立ち位置がどこにあるのかわかりません。
ジョンヒョクを尊敬してる小説の中の女子高生? ドクシャたちを助けてくれてるわけじゃないけど、ジョンヒョクの援護をするために怪獣を倒してる? 完全なる虚構の人物ということで不思議すぎました。
付け加えると、パク・ホサン(↑)がいい味を出してました。忠武路駅の主みたいな役で、欲に目がくらんだ嫌な人間の象徴として登場するけれど、ドクシャたちに刺激され、率先して怪獣たちと戦ってくれるというおいしい役どころ。
こういう役をやらせると本当に上手い俳優です。
最近「映画館の存続」について話題にすることが多かったのですが、この映画こそまさに劇場の大スクリーンで観るべき映画と言えるかもしれません。CGを駆使した画面はすごい迫力です。
明らかに続編があるような終わり方だったので、次の展開に期待しています。
原作小説にも興味が湧いたので調べてみたら、Part1~5まで全20冊もありました。これは読むのが大変だわ。
最後まで読み切った読者はドクシャただ一人という設定が急に現実味を帯びた気がしました。
by choyon
| 2026-03-29 11:20
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