2026年 02月 28日
器の子

【備忘録】
私は台湾映画が好きなのですが、最近の台湾のスリラー系作品は刺激が強すぎる描写がけっこうあります。
この映画も目を背けたくなるシーンが多くて参りました。
【簡単なあらすじ】
児童養護施設で野球のコーチをやっているジャンは、妻と生まれて3ヶ月の赤ん坊と3人で幸せに暮らしていました。
ある日、妻が一瞬 目を離した隙に赤ん坊が誘拐されてしまいます。必死に探し回るのですがどうしても見つかりません。それが原因で妻は自殺。一人きりになってしまったジャンは、赤ん坊が産まれた病院の看護師が誘拐事件について何か知っているということを突き止めます。ところが、約束の場所に駆けつけると看護師は飛び降り自殺を図り、その場に居合わせたジャンが逮捕されます。冤罪で終身刑になったジャンは模範囚ということで17年後に出所。
それから、自分の子の行方を探すために事件に関係のある人物を拉致しては拷問を加え、驚愕の真実に近づいていきます。
※びっくりするようなどんでん返しがあるので、それに関してはネタバレするのを避けようと思います。
今までも臓器移植が目的の誘拐事件を描いた映画はたくさんあります。見ていて一番胸が苦しくなったのは韓国映画「コインロッカーの女」です。実際に映画のようなことが行われているかもと想像しただけで、恐ろしくてもう二度と観る勇気がありません。
臓器移植は多くの患者の命を救ってきた大切な医療分野です。ただ、その臓器を手に入れるために大金を積む人がいて、その報酬を得るために子どもを誘拐したり、借金のかたに無理やり臓器を提供させるという犯罪組織が存在するのが問題なんです。
しかも、この映画はカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」に通じる恐ろしさも感じました。
タイトルの「器の子」というのは、臓器を提供する側の子供を指す言葉だそうです。
「娘を助けたい」
父親なら誰もが同じ気持ちを抱くはずです。その気持ちは十分理解できます。でも自分の子が救われるなら、他人の子はどうなっても構わない・・・そういう親のエゴが事件を生みます。
ジャンが「お前に奪われたものをすべて奪い返す」と、関係した者を自分で処罰したところで、幸せだった生活が元に戻るわけではありません。
それでも、このまま犯罪集団を野放しにしておけば、再び自分と同じように苦しむ親が現れます。
彼らの罪を警察や世間に訴えても、様々な分野の人間がグルになっている限り、彼らが裁かれる保証はありません。
それどころか、またでっち上げの冤罪によって自分が収監されてしまえば事件は闇に葬られます。
ジャンの気持ちとその行動にはとても納得がいきました。それがいいか悪いかは別として。。。
ただ、その人まで殺すの?という場面があり、しかもその罪を他の人に背負わせるのはおかしくないかな?とそれだけは疑問に感じました。
主人公ジャン・チーマオを演じるのはお馴染みの張孝全。
このジャン役は張孝全にピッタリの配役だと思います。筋骨隆々で強い父親のイメージがある俳優です。
ちょっと浪花節が入っているのが彼らしさでもあります。特にこの作品のラストは蕭煌奇の歌も相まって、ひと昔前の日本のヤクザ映画を見てるようでした。
その他、李沐、婁峻碩、薛仕凌、黃健瑋などのお馴染みのメンバーに加えてチョイ役で陳妤、于子育、林鶴軒なども出演しています。
張孝全と李沐の演技が際立っていて、他の俳優が目立たないほどでした。
この二人と言えば「次の被害者」コンビなので、並んで立つとどうしても既視感があります。
しかも、李沐、婁峻碩は「夏日のレモングラス」コンビだし、台湾の作品は最近同じ顔触れの俳優を使いすぎていないでしょうか。
李沐の演技力が映画界に必要なのはわかるけれど、他にも実力のある若手がいるんじゃないかと思うのです。
李沐が出てるから見たい!という気持ちが生じるのは確かなのですが、台湾エンタメ界発展のためにも、若手にチャンスをどんどん与え、育ててあげてほしいな。
日本に入って来る作品は限られているのでそう思うのかもしれませんが。。。
それと余談ですが、今まで張孝全のことはジョセフ・チャンと呼んでいたのですが、彼は自分のことを「ジョセフ・チャン」と呼ばれるのが嫌なのだそうです。日本の配給会社が勝手にそう名づけているけれど、自分としては張孝全と呼んでほしいとのこと。(これもカタカナにすると音が変わってしまいますが、チャン・シャオチュアンということでいいのでしょうか?)
日本でその俳優をどう呼ぶか、一体誰が決めてるのか知りませんが、グレッグ・ハン(漢)などという訳のわからない呼び名になってしまった許光漢や、本人の希望とは違う呼び名になった張孝全のような問題も発生するので、これからは無理にカタカナで表記せず漢字のまま俳優名を書きたいと思います。
by choyon
| 2026-02-28 18:38
| 台湾・中国映画(鑑賞順)許光漢除く
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