2026年 01月 18日
唐人街探偵1900

「唐人街探偵」の続編が公開されるということで、ついにこのシリーズも完結か!と楽しみにしていたのですが、蓋を開けてみると続編というよりは「スピンオフ」的な作品でした。
↓ここでも書いたのですが、「3」を撮った後、「4」の脚本をがんばって書いているけれどなかなか思うように筆が進まないと陳思誠自身が語っていました。
結局、秦風(チン・フォン)や唐仁(タン・レン)の曽祖父 or 高祖父(曽祖父の父)の世代を描くスピンオフ作品を撮ることに方向転換したようです。それぞれの世代が何歳で子を持ったかがわからないので、はっきりとした関係は言えないのですが、とりあえず1900年に青春時代を過ごした秦福(チン・フー)と、阿鬼⇒唐鬼(この映画で彼は唐という苗字を名乗ることになります)という彼らの先祖のエピソードです。(だと思う)
「唐人街探偵 1900」は大陸では2025年の春節に公開され、36.1億人民幣の興行収入を上げたそうで、日本円に換算したら、現レートで818億6千万円・・・ん?計算違いじゃないかと確認してしまいました。
日本人の感覚からしたら桁が違いすぎますね。
【あらすじ】公式HPより
『1900年、清朝の高官・費洋古は政治組織・興中会の孫文、鄭仕良を捕らえるためにアメリカのサンフランシスコにやって来る。同じ頃、米下院議員グラントの娘アリスが、サンフランシスコのチャイナタウンで殺害される事件が起こる。さらにネイティブ・アメリカンの老人が殺され、その容疑がチャイナタウン協盛堂の長・白軒齢の息子、白振邦にかけられる。一方グラント議員は、アメリカ在住の中国人を毛嫌いしており、議会で中国人を排斥する法案を推進しようとしていた。白軒齢は息子を守り、中国人が迫害を受けるのを防ぐべく、探偵に調査を依頼することに。
雇われた秦福は、養父の復讐のためにやってきた中華系ネイティブアメリカンの阿鬼と共に真相を追及し始める。』
舞台となっている1900年というのは清朝の末期で、反キリスト教、排外主義の義和団による民衆蜂起が起きます。西太后は鎮圧を図るのですが、勢力を拡大した義和団に北京を占領されたため義和団支持に転じ、列強諸国に宣戦布告を行います。そこから8ヶ国連合軍(日英美徳法露意奥)が清に侵攻してくるまでの間に、アメリカのサンフランシスコで起きた出来事を映画は描いています。
この歴史に関しては画面でさらっと紹介されていました。
少し腑に落ちなかったのは、広州事変に敗れた興中会の孫文、鄭仕良がアメリカで身を隠し、更なる大革命に向けて武器を調達しているという設定になっていたことです。
アメリカじゃなくて、日本が匿(かくま)っていたんじゃないでしょうか? 結局、孫文は登場せず、鄭仕良だけがサンフランシスコに潜伏していました。私は鄭仕良は架空の人物かと思ったのですが、調べてみたら実在の人物で、やはり日本から武器を調達していた史実があるようですね。
すみません、映画の流れにはまったく関係のないどうでもいいことです。^^;
もうひとつ、どうでもいいことを言います。
映画は、アメリカに渡った中国人がどれほど過酷な労働で命を落としたかということが語られます。
金山や石油の採掘、鉄道工事、危険が伴う重労働はすべて中国人が担い、アメリカ人の生活を支えるために、毎日の食料を配達し、製糸工場で衣服を作り、部屋を整え、運転手として足となってきたのは中国人だと。
それなのに「よそ者」と差別され、移民排斥運動を起こされ邪魔者扱い。この国は「人は誰もが平等だ」と唱えたのではないのか!と彼らは訴えます。
確かに当時の唐人街がアヘン、ギャング、賭博、売春の巣窟で風紀が乱れるという主張もわかるのですが、利用されるだけ利用されて挙句の果てに「出ていけ」と声を上げられる辛さも理解できました。
ただ、引っ掛かったのはラストのシーンです。
なんとか武器を調達した鄭仕良が船で香港へ向かうのを見送る秦福が語ったセリフ。
「一体何の革命をするのか」
「中国をもっと良くするための革命だ。もしそれが実現できれば誰も移住なんかしない」
これが引っ掛かった!!!(笑)
世界中にチャイナタウンが存在している今のような状況となったのには長い歴史的背景があると思うし、私が語れることはないのですが、1900年にこのセリフって・・・。そっ、そうなの?^^;
今は日本も移民問題で揺れているので、この映画で描かれている騒動も他人事(ひとごと)とは思えず身につまされました。
金山で爆発が起き中国人の両親を失った阿鬼を拾って育ててくれたネイティブアメリカンのナバホ族にとっては、自分たちの土地を「移民」に乗っ取られたようなものです。映画はさりげなくそのあたりの矛盾も描いていたような気がします。
この映画のおもしろさは、とにかくテンポがいいこと。
登場人物たちはみんなテンションが高く、セリフは明晰で、早口です。
「3」では日本人の俳優たちに同じことを要求したようで、不自然な演技に気負いを感じました。
でも、やはりこのテンポの速さがシリーズの特徴でもあり、おもしろさでもあると思います。
〇秦福を演じる劉昊然(リウ・ハオラン)がすごくいいです。^^
服を脱いで逃亡するシーンがあって、お肌が真っ白で、ムキムキもしてなくて、何と言ったらいいのか・・・すごくいいのです。^^;
この容姿で「燃冬」や「解密」のような演技をされると、そのギャップにやられてしまいます。
〇阿鬼を演じた王寶強(ワン・バオチャン)は、今までの「唐人街探偵」シリーズではガチャガチャうるさいだけの人というイメージでしたが、この「1900」では、鷹の目、狼の耳、豹の足、熊の力? とにかく人間離れした能力を持つ人物として大活躍でした。この力をもっともっと発揮する機会があってもよかったのですが、まあこんなもんかな。一応メインはどんな難事件も解決する劉昊然の頭脳明晰さに焦点が当たっていますので。^^;
〇サンフランシスコの唐人街を仕切っている白軒齢を演じたのは、周潤發(チョウ・ユンファ)です。
久々にお姿を見ましたが、もう70歳だそうです。全然年齢を感じさせません。立ち姿がまっすぐで威厳に満ちていて、長い演説シーンも見事でした。
〇白軒齢の息子・白振邦は張新成が演じます。「家族の名において」で賀子秋兄さん役だった俳優です。
〇革命家の鄭仕良を演じたのが白客という俳優さん。どっかで見たことがあると思っていたら「長安のライチ」の蘇諒役がこの人だったんですね。
〇それから私が「満江紅」で目をつけていた岳雲鵬という俳優が、西太后にアメリカ行きを命じられる高官・費洋古役で出てくるのですが、この人よく見たら「中餐厅第7季」に推しの許光漢と一緒に出てた人だった~~!だから気になってたのか・・・。^^; 元々はコメディアンらしいのですが、演技もおもしろいと思います。
〇それと、ネイティブアメリカンのナバホ族の若い族長がなんと尹正!彼も「中餐厅第7季」に出ていて、推しとは「瞞天过海」でも共演しています。「君、花海棠の紅にあらず」を見ると分かる通りすごい演技力の持ち主なのに、なんでこんな役で出てるの?とびっくりしました。でもどんなチョイ役でも相変わらず全力投球!あれは何語で話してたんでしょうか?アドリブ?(笑)
この出演者の顔ぶれを見るだけでも楽しく鑑賞することができました。
秦風と唐仁コンビは叔父と甥っ子という関係だったと思いますが、どうやって親戚筋になったんでしょうね?とにかく腐れ縁はここから始まったということがわかりました。
これはこれでとてもおもしろい映画だったので、完結編の「4」はいつになってもいいかな~という気にさせられました。番外編を作ってるうちに完結にふさわしいアイデアも浮かぶだろうし、それまではいくらでも回り道をしてください。楽しみに待っていたいと思います。
by choyon
| 2026-01-18 21:53
| 台湾・中国映画(鑑賞順)許光漢除く
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