2025年 12月 20日
落下の王国 4Kデジタルリマスター版

遅ればせながら2006年公開「落下の王国」の4Kデジタルリマスター版を観てきました。
職場の若い子たちが大絶賛していて、そんなにすごい映画なのか・・・と期待を膨らませました。
いや~、これはすばらしい!!!
期待していた以上で、大ヒットしているのも素直に頷けます。
この映画の見どころはすでに多くの方が書かれていると思うのですが、本当にどこを切り取っても、額に入れて飾りたいくらい美しい画面。
事前に仕入れた情報では、ターセム・シン監督が、構想26年、撮影期間4年をかけて制作し、CGに頼っていないとのことでした。CGなしにこれだけの映像を撮るのは大変だっただろうなと感動しました。
天気や雲の動きなど、自然にまかせてベストショットを狙うためには時間もかかるでしょう。
しかも、制作費は監督の自腹だったとか。映画から監督の映画に対する情熱が伝わってくるようでした。
見覚えのある景色が何ヵ所かありました。タージマハールやアグラ城、ジャイプールのシティ・パレスなどです。
あとはよくわからなくて「落下の王国 ロケ地」で検索するとAIが教えてくれました。
13の世界遺産を含む、24ヶ国でロケが行われたそうで、すべてが記載されていたわけではありませんが、主なシーンはインドでの撮影だったようです。
女性が長い階段を駆け上っていくシーンはジャイプールにある天体観測施設だそうで、そんな世界遺産がジャイプールの街にあったことも知りませんでした。
それからチャンド・バオリと呼ばれる階段井戸の使い方が見事でした。これもジャイプール近郊にあるそうで、せっかく近くまで行ったのに足を運ばなかったことを後悔しましたが、当時は「地球の歩き方」にもこの遺跡は載っていませんでした。
ついでに言うとジョードプルが「青い街」と呼ばれていることなんか初めて知りました。ジャイプールがピンク・シティとして有名な観光地だったので、それに便乗したのでしょうか?街の景色がとてもきれいに撮影されていました。
それから、物語の登場する人物たちのコスチュームの奇抜さに目を引かれます。
奇抜ではあるのですが、ファンタジーの世界に溶け込んでいて、どのファッションもとても素敵です。
これが日本人デザイナーの石岡瑛子さんの手によるものだということを知らず、後で検索して様々な分野で世界的な活躍をされてきた方だとわかりました。
特にこのお姫様の顔を隠していた扇が、下から開いて顏がのぞくシーンの美しさ!
自分が小さい時に家にあった開閉式の団扇が思い出されて、この東洋的な美しさに息を呑みました。
ネタバレあり
ロケ地や衣裳など、画面の美しさに心奪われる映画であることは確かなのですが、私が一番感動したのは、この映画が観客に伝えようとしているテーマです。
映画のスタントマンをしていた青年が脚を骨折して入院しています。同じ病院には、果物取りの手伝いをして落下し左腕を骨折して入院している少女がいます。
青年はこの少女に、6人の男たちの愛と復讐の壮大な叙事詩を語り出します。
実は青年は失恋による自殺願望があって、歩けない自分の代わりに少女に死ぬための薬を取ってきてほしいのです。
青年の語る話に少女は夢中になり、続きが知りたくて青年から言われるがままに・・・。
この少女が演技しているのかしていないのかよくわからないほどの名演を見せてくれます。
鼻がぐずぐずしてましたが、あれは本当に風邪をひいてたんじゃないかな。
この子がリアルだったので、余計に映画のストーリーがおもしろくなりました。
映画の世界は、青年が語る作り話を聞いている少女の頭の中に広がる想像の世界です。
少女は、いつしか自分自身もその話の登場人物となって青年と行動を共にします。
そして空想と現実の境界が曖昧になり、悲しい物語に登場する青年の命を救おうとする⇒現実の青年の命を救うのです。
少女の想像力によって、青年が生きる力を取り戻していくという思いもよらない展開になります。
映画に限らず、神話、叙事詩、物語などなど・・・、私たちはこれらの創作された作り話にどれほど癒されてきたでしょうか。それらに触れたとき、想像の世界で遊び、何かを学び、そして、また現実に引き戻されます。
そうやって空想と現実を行ったり来たりしながら、心に残った物語は 自分を形成する大切な一部分となります。
ラストで画面に映るチャップリンやキートンの無声映画。
もちろんその時代にCGはありません。何度も何度も登場する落下シーン。
スタントマンたちが、人に夢を与えるために命がけで落ちるシーンを演じています。
映画という虚構の世界ではあるけれど、それは多くの人たちを夢中にさせ、生きる力を与えてきました。
その場にあの青年の姿が見えた気がして、映画への賛辞でいっぱいになり、ウルウルしてしまいました。
※ところがですね、職場の子が監督のオンライン登壇イベントに行ったらしいのですが、ラストに無声映画を取り上げたのにはあまり深い意味はなかったらしいです。監督のお話を聞くと映画の印象が変わってしまう恐れがあるので無視することにしました。(笑)
映画というのは、監督の意図がどうであれ、世に出した段階で解釈は観る者の主観に任されます。
アレクサンドリアちゃんほどの想像力は持ち合わせていませんが、私は自分がウルウルした気持ちを大切にしようと思います。
by choyon
| 2025-12-20 10:40
| ★外国映画・ドラマ
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