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ひとつの机、ふたつの制服

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映画館に入ったら、場内に五月天の「擁抱」が流れていてびっくりしました。
きっと映画の挿入歌なんだろうなと思ったら、やっぱり映画の中で何度もこの曲が流れ、それだけでも映画の評価が上がります。
しかも、この映画は時代設定が1997年からスタートするのですが、主人公の友達がインディーズバンドにハマっていて「高校時代の友達同士でバンドを組んでる新人バンドの歌がすごくいいから聴きに行こう」と主人公を誘うのです。地下のライブハウスから聞こえてくるのがまさに五月天の「擁抱」!
バンドを結成したばかりでまだデビューもしていない五月天の歌声が流れるとは思いませんでしたよ。
映画は今から28年前の話で、このMVの中にあの子たちがいたのかと思うと感慨深いです。





ネタバレあり


入試に失敗して第一志望の第一女子高に入れなかった小愛ちゃんが主人公です。
当時の台湾の高校は夜間部があったらしく、働きながら高校の卒業資格を取るために勉強する場所というよりは、全日制に通う子たちと同じように希望の大学を目指して受験勉強するために通う場所だったようです。
夜間部に入るために本入試で不合格になった子たちが再度試験を受けます。夜間部の試験も倍率が高くて優秀な高校の夜間部に入るだけでも大変だったようです。

夜間部も同じ校舎の同じ教室を使い制服も同じです。全日制の子と識別するために制服の胸に縫い付けてある学校名と学籍番号の刺繍糸の色が違います。全日制は黄色、夜間部は白色で、太陽と月ということでしょうか。
全日制の子たちの授業が終わる16時から21時までは夜間部の授業が行われ、違いといえば音楽、美術など芸術・技術系の授業は行われません。
同じ机を使う全日制と夜間部の子が手紙のやりとりなどをして仲良くなり「机友(卓友)」と呼ばれる関係を持つこともあったようです。

日本では夜間部とは言わず定時制と言っていました。今はもうなくなってしまったようですが私が通っていた高校にも定時制がありました。同じ教室を使うので17時までに全日制の生徒は机の中の物はすべて鍵付きのロッカーに入れて帰ります。私は運動部だったので放課後は荷物を持って部室に行っていました。
当時は全日制と定時制が校舎を兼用していた学校はたくさんありましたが、台湾とは違って昼間働いている人たちのための夜の学校という感じで、机の中に手紙を入れて仲良くなるというようなことは一切ありませんでした。
むしろ、自分がそこにいたという痕跡を消さなければならなかったので、少し窮屈な思いをしました。
同じ机に座る人のことを考えたことはありませんでした。偏見や差別ではないのですが、やっぱり住む世界が違うと感じていたのだと思います。

小愛ちゃんには同じ机を使う敏敏という机友ができます。
かわいくて優秀で自信満々な敏敏のことが小愛ちゃんの目にはまぶしく映ります。そのうち敏敏からの提案で、制服を1枚取り替え、二人で学校を脱け出して一緒に遊びに行ったりするようになります。自分が憧れていた 胸に黄色の刺繍が入っている制服。それを着ているだけで世界が違って見えます。
そして、小愛ちゃんが前から好きだった男子を敏敏も好きなことを知ります。
優秀な二人が話している内容が小愛ちゃんには理解できません。
手が届かない。世界が違う。生活のレベルが合わない。
どれだけ努力しても夜間部の生徒はまがいもの。
いつも自分は脇役で主役にはなれない。

小愛ちゃんの頭の中はコンプレックスでいっぱいになります。
卓球の才能がある。大学は体育科に進みたい。
いいところがたくさんあるのに、自分を否定し他人と比べて落ち込んでばかり。。。
そんな彼女に、価値観が根底からくつがえるほどの大事件が起きます。

彼女はこの劣等感から脱け出すことができるか。
自分の個性を認め、自分に合った道を選びとることができるか。


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小愛ちゃんを演じたのは陳妍霏。「青春18×2」でカラオケ店の不良娘を演じてた子で許光漢ファンにはお馴染みですね。彼女は2020年の「無聲」で最優秀新人賞を取って注目された実力派。この映画の小愛の演技も光っていたと思います。
彼女の机友を頂婕如が演じます。彼女は「疫起」「この心亡き者」「愛という名の悪夢」などに出演していて大活躍中の女優さんですが、この映画の高校生役も違和感がありませんでした。
二人が好きになるモテモテ男子役は邱以太。「成功補習班」に出てたのは覚えているけど「愛という名の悪夢」にも出てた?どこに?^^; これからの活躍を期待したいと思います。
お母さん役は季芹。出演作を何作か観たことがあるのですが、今までちゃんと認識していませんでした。
あとは、鄭志偉などのベテランが脇を固めます。



話は変わります。
私がよく聞いている「ゆる言語学ラジオ」という番組の#404で「自己肯定感と自己評価は別物じゃないか」という話がありました。
「自己肯定感」というのはWikiによると「自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情」と説明されていました。つまり「自分のことが好きだ、自分は生きてていいんだ」というふうに自分自身を肯定的に捉える感情です。
それに対して「自己評価」というのはAIによると「個人が自身の業務遂行能力や成果、業務態度などを振り返り、客観的に評価する仕組み」だそうです。「自分はこれが得意だ」「自分はこれができて、これができない」というように自分を客観的に捉えることを指します。
この両者はまったく別物というより、自己肯定感が高いと自己評価も上がり、自己肯定感が低いと自己評価も下がるというように連動してるのかもしれません。また人によっては両者が独立して別々の動きをしてる場合もあるでしょう。
番組では、職場でどう接したら部下の自己評価を上げることができるかなど、対人関係に自己肯定感と自己評価の考え方を取り入れる話に移っていきました。

たとえば、パーソナリティの堀元さんはどちらも高いと自他ともに認めていました。(笑)
水野さんは「自己肯定感」は高く、「自己評価」は極端に低いのだそうです。低いからこそ もっと自分を伸ばそうと努力します。(本人は努力じゃなくて、したくてやってるだけだと言ってますが。。。)
人に何を言われても気にならなかったり、怒られてもケロっとしている人なんかは「自己肯定感」がすごく高い人だと言うことができます。

私はと言うと「自己肯定感」はとても低いです。
「自己肯定感」というのは成育歴や環境に大きく影響を受けるので、これはもうどうしようもありません。思考回路がそうなっているから。
「自己評価」に関しては、番組中に堀元さんが「ブログなんかやってる人は自己評価が高い人。自分の考えを発信すること自体、自己評価が高くないとできない」と言っていて、多分そうだと思いました。(笑)
自分を否定して落ち込むことがとても多いのですが、人と自分を比べることはまったくしません。ひがんだりねたんだりが一切ないのはある程度「自己評価」が高いのだと思います。これは能力が高いと言っているのではなくて、自己評価が人との区別ではなく、自分自身の中で行われているということです。自分の考えを言うことに抵抗がなく、人に左右されにくいけれど、後で自己嫌悪にとらわれて苦しい思いをします。


で、映画の話に戻るのですが、小愛ちゃんみたいな子は「自己肯定感」も「自己評価」もどちらも低い部類にあたるんだと思います。「自分は自分だ!」という強い気持ちが持てなくて、いつも人と自分を比べています。
お母さんは厳しくて小愛ちゃんに自分の理想を押し付けようとするけれど、自己肯定感が低い子にあまりうるさく言うとますます子どもは萎縮し潰れてしまいます。小愛ちゃんには彼女を褒めてくれる人が必要なんです。
どんどん褒めて自己肯定感を少し上げてあげて、彼女が持っている能力を活かして自己評価が上がるように見守ってあげることが大事なんだと思います。
彼女は突然遭遇した事件によって、自分は誰かにとって大切な人間なんだと気づきます。事件は辛いことではあったけれど、自分を肯定する大きなきっかけになったのだと思います。

この映画が素敵だなと感じたのは、パーフェクトなキャラだと思われた初恋の男の子にも欠けているところがあると最後に見せたことです。人の哀しみというのは他人にはわかりません。すべてが完璧にそろってる人なんかいないです。
だから彼は小愛ちゃんに惹かれたのだな、まがいものとしての彼女の姿ではなくて、彼女のあるがままの姿を好きになったのだなと理解できました。
誰かが照らさないと光らない月ではなく、彼女自身が太陽のように輝いていることを彼は知っていたのです。

台湾の青春映画は大人が見ても気持ちが癒されます。
「自己肯定感」も「自己評価」も固定的なものではなく、特に若いうちは 気持ちの持ち方ひとつで上がり下がりするのだと映画は語っています。
まっすぐ前を向いて進んでいく小愛ちゃんが見えるようで、「未来は明るい!」と感じました。


by choyon | 2025-11-24 20:58 |  台湾・中国映画(鑑賞順)許光漢除く | Comments(0)

推しは周杰倫、五月天の阿信。新たな推しは許光漢!(推しはたくさんいた方がいい。^^)すべてネタバレあり。独断と偏見に満ちた自己満ブログです。


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