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2025年 11月 03日
エイプリル
今年の東京国際映画祭には「台湾電影ルネッサンス2025」というカテゴリがあり、台湾映画4本が上映されました。
しかも、劉冠廷が主演する「エイプリル」と「ダブル・ハピネス」はまだ台湾でも上映されていないワールド・プレミア上映!これらの作品を日本でいち早く観ることができるなんて映画祭のおかげです。
ただ、劉冠廷がいつ舞台挨拶に立つか、チケット予約が開始された時点では未定になっていて、私は彼の主演映画2本が同日に上映される日のチケットを購入しました。後になって別の日に登壇することを知ったのですが、今回の舞台挨拶は諦めるしかありませんでした。問題だと思ったのは、舞台挨拶のあった日の上映回は観客がガラガラだったことです。
もっと早く教えてくれれば、私は仕事を休んででもその回のチケットを買いました。そういう人は多かったんじゃないかと思います。せっかく来日してくれているのに観客が少ないなんて申し訳ないですよね。
いつも東京国際のゲスト情報は直前にならないと発表されませんが、せめてチケットを売る前に教えてほしいです。
ということで、まず「エイプリル」の感想から。
【簡単なあらすじ】
タイトルからは何の映画なのかまったくわかりませんでした。
これはフィリピンから台湾に介護人として出稼ぎに来ている女性の名前なのです。
発音が現地語の「おばあさん」に似ていて「アポー」と呼ばれていました。
彼女の元にフィリピンにいる実母が重病で余命わずかだと連絡が入ります。
実父が亡くなるときも側にいてあげられなかったので、どうしても故郷に帰りたいと思うのですが、介護しているおじいさんの子供たちは「誰が父の面倒を看るんだ?」と帰らせてくれません。
「それなら私がおじいさんをフィリピンに連れて行きます」と宣言するアポー。それには反対しない子供達。
そうして、おじいさんを車椅子に乗せて飛行機でフィリピンの自分の家へ10年ぶりに帰ります。
末息子(劉冠廷)が台北の刑務所を仮出所して屏東の実家に戻ってきましたが、家には誰もいません。
兄弟に尋ねると、父親は介護人と一緒にフィリピンに行ったと知り驚きます。
アポーはとても優しく気がつく優秀な介護人です。その家のおばあさんの最期も看取りました。おじいさんは何も話しませんが、心を込めて介護してくれるアポーのことをとても信頼しています。
フィリピンにいる夫や子どもたちは、久しぶりに会えたお母さんが知らないおじいさんを連れて帰ってきたので戸惑いますが、おじいさんを歓迎して大切に接してくれます。
でも10年の不在は彼女と家族の関係をどこかぎこちないものにしていました。
一方台湾の末息子も兄弟や近隣の人々との関係に悩んでいます。昔からの友達は彼に恨みを抱き、再び悪の道に引きずり込もうとします。過去は消えなくても、真面目に働いて地に足をつけた暮らしをしたいと彼は望んでいます。
それぞれの国で居場所を失くした者たちが、どうやって自分たちの暮らしを建て直していくか・・・。家族の在り方とは・・・。
おじいさんは、なかなか思い通りの人生を歩めない息子に語りかけます。
「蛇には蛇の道があり、カエルにはカエルの道がある。おまえにもおまえの道があるはずだ」
みんながそれぞれに自分の道を歩いているのだから、それをお互いに認め合おう。
そして、自分を必要とする人がいれば、手を貸してあげよう。
そう言っているように聞こえました。
監督・脚本は唐福睿。
張孝全、江宜蓉、李康生が出演していた「童話・世界」を撮った監督で、実際に弁護士だった方です。「童話・世界」も権力者による性暴力を 法律の専門家としての視点で描いた問題作でした。
作家としても活躍されていて、自著「八尺門的弁護人」を原作としたTVシリーズも撮ってらっしゃいます。
これは未見なのですが、先住民、外国人移民労働者、死刑廃止、官僚と財界の癒着などの社会問題に焦点を当てたドラマのようです。
「エイプリル」も、老親の介護を押し付け合う子供たちや、それを担うための外国人労働者を受け入れざるを得ない国内事情など 描いている内容は重かったのですが、フィリピンや台湾の田舎の風景の美しさ、人々の素朴さ、温かさが胸に染みるいい映画でした。
介護人を演じたエンジェル・アキノさんとおっしゃるフィリピンの女優さんはとてもきれいな方でした。
フィリピンに限らず、アジアの国々では経済的な事情で海外で働く人々がたくさんいて、子供の将来や家族の生活のための出稼ぎとは言え、親が子供の成長をそばで見てあげられないケースが数多くあって問題になっているそうです。
日本でもそういう方たちの労働力なしには介護現場は回らないところまで来ていると思います。
これからどんどん介護が必要な人が増え、働き手は減っていきます。この映画で描く社会問題が私にはとても他人事とは思えませんでした。
劉冠廷を始め、黄瀞怡、荘凱勛、于子育、施名帥、楊麗音などなどお馴染みのメンバーが登場します。(村人の役で洪瑜鴻も出てました)
顔ぶれが台湾語の演技もする方々だったので、当然この映画も台湾語なんだろうと思っていました。
ところが、現地の言葉がまったく聞き取れないのです。知ってる単語すらなくて、さすがにこれはおかしい、もしかしたら台湾語じゃないかもと思っていたら…、
併記された英語字幕に(Hakka)と表記されている箇所を見つけ、これが客家語なのか~と映画を観ながらカルチャーショックを受けました。
調べたら、劉冠廷は國語、台湾語だけでなく、客家語話者でもあるんですね。台湾人の12%は客家語を母語とする人たちで、客家語もさらに地域によって何種類もの方言があるとか。台湾の言語の多様性には驚くばかりです。
私が今まで観てきた台湾の映画やドラマの中にも客家語のセリフが出てくる作品があったのでしょうか? 今までそんなこと考えたこともなかったのですが…。^^;
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choyon
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2025-11-03 10:43
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