2025年 09月 29日
ブラック・ドッグ
※「8・9月の備忘録」より転記
昨年の東京国際映画祭で上映され、カンヌ映画祭でも「ある視点部門グランプリ」を受賞するなど、世界中の映画祭でいくつもの賞を受賞している映画です。
主演は、台湾出身の彭于晏(エディ・ポン)! もうすっかり大陸の俳優になったように見えますが、この映画では主役なのにほとんどセリフはありませんでした。やっぱり台湾訛りのせいなのかな? 最近広東語に吹き替えられた彼の主演映画を観て言葉の壁の厚さを感じたばかりだったので、気になりました。
北京オリンピックを控えた2008年の中国が舞台です。
幼馴染を誤って殺してしまった青年が服役を終え、砂漠に囲まれる故郷に戻ってきます。
被害者の家族は彼を赦してはくれません。
街は荒廃し、引っ越した人々が捨てた飼い犬が野良犬になって群れていました。
人を噛む危険な犬として捕獲賞金を懸けられた黒い犬と出会った主人公は、群れに加わらないその犬に自分の姿を見て心を通わせるようになります。
ほとんど無彩色の画面で静かに語られる主人公の青年の生き方。
辛い思い出があるこの故郷に戻らないという選択肢もあったはずなのに、彼はそこで自分がやり残したことを最後までやり遂げようとします。それは自分自身の罪を償うためでもありました。
彼の孤独に黒い犬が寄り添います。
地味な映画でしたが、視聴後しばらく経ってからこの映画の良さがジワジワと伝わってきました。
「逃げない人」の魂の崇高さ。
人生はやり直すことができるという「希望」。
精悍な黒い犬が与えてくれる「癒し」そして「共闘」の精神・・。
バイクに乗って自分の道を切り拓いていくエディ・ポンの存在感が光っていました。
主人公が寡黙な男として描かれ、言葉ですべてを表さないので、余計に彼の内面の深さをしみじみと感じることができました。台湾訛りのせいではなく、監督の意図はそこにあったのかもしれません。
by choyon
| 2025-09-29 23:35
| 台湾・中国映画(鑑賞順)許光漢除く
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