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毒戦 BELIEVER 2

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「妻消えて」の前振りでも書いたのですが、この「毒戦2」には感情を激しく揺さぶられてほんとにヤラレた!!という感じです。(視聴中はいろいろあったけど、最終的にはいい意味です)

「毒戦」という映画は元々は私の愛する香港のジョニー・トー監督の作品で、ものすごくおもしろい映画なのです。
当時はそれを韓国がリメイクするということで話題になりました。しかも、キム・ジュヒョクオッパの遺作とも言える作品で、私にとっては思い入れの強い映画です。

ネタバレあり

映画館で「毒戦」を観たときは、韓国版は香港版よりも内容が複雑でよく理解できないシーンもあり、私としては大絶賛とはなりませんでした。
でも、韓国版「毒戦」のラストシーンはすばらしかったです。
音がない世界に響き渡る1発の銃声。(場面に映る二人は聾唖者なので、その音に気づけません)
あのラストシーンの余韻はずっと心に残っていて、一体誰が誰に発砲した銃の音だったのか気になっていました。
「AがBを撃った」「BがAを撃った」「Bが自らを撃った」「(ちょっと考えにくいけれど)Aが自らを撃った」という4通りが考えられると思いました。どのパターンだったかで悲しみの質が変わります。
続編ができると聞いたときに真っ先に思ったのは、やっと銃声の謎が解けるということでした。
続編なので、そこから新たな物語が始まるのだと・・・。
ところが、「毒戦2」はその銃声からスタートするわけではありません。

「毒戦2」の冒頭で、「毒戦」の後半の場面がダイジェストで流れますが、鑑賞したのが4年も前のことなので忘れているシーンが多いことに気づきました。
何をやってるのかついていけない、そして誰だかわからない人が出てる・・・。^^;
どういうことなのか意味がわからず、検索して初めてリュ・ジュンヨルが降板したことを知りました。
この一番重要な人物が演者交替するなんて。。。ちょっと考えられません。
「毒戦」でラク(ソ・ヨンナク代理)という人物を演じたリュ・ジュンヨルは目がまったく動かないし、無表情なんです。
その無機質さが不気味で、彼が抱えている苦悩を窺い知ることができました。この存在感を出せる俳優はなかなかいないと思います。
オ・スンフンという俳優の演技が悪いわけではありません。私は彼を「メソッド」という映画で知ったのですが、当時は新人にしては面白い芝居をする人だと思っていました。でもこの代役は彼には荷が重すぎた・・・。


しかも、私の認識ではラクこそが「イ先生」。「毒戦」ではそう描かれていたはずです。
ところが、「毒戦2」ではなぜか彼は「イ先生」ではないことになってる。。。
私はこの点が納得いかなくて、もう一回「毒戦」を見直しました。
私がなぜ、ラク(ソ・ヨンナク代理)を「イ先生」だと思ったのか・・・。

⇒「毒戦」で、ソ代理はブライアン理事に直接言っています。
「イ先生になれると思ってたんですか? 確かに僕が死んでたら、イ先生になれたかも。」
「イ先生を名乗った奴らは9人はいる。現実が腐っているから、報われたくてウソをつく」
「最大のミスは、僕になれると思った勘違い。イ先生のフリをした命知らず」

言ってるじゃん!笑 自分がイ先生だと言ってますよね?
ブライアン理事も聞いてたよね。それなのになんで「毒戦2」ではイ先生を知らない設定になってるの?^^;
「毒戦2」で、イ先生の正体を振り出しに戻されても、「毒戦」を観た人は頭の中に疑問符が生じたに違いありません。


確かに、「毒戦」はすべてを見せたわけではありません。
でも「ラク(ソ代理)がイ先生だ」という大前提があったからこそのラストシーンなわけで、そこが揺らぐとラストシーンの意味が変わってしまいます。
あの余白が良かったのですよ。どこか遠い国の冬景色。延々と続く道を走る一台の車。
チョ・ウォノ刑事は地球の果てまで「イ先生」を追い詰めて、犬につけたGPSを使って遂に彼の住み家にたどり着く。
もうそれだけで充分! その執念のすごさを思いながら、そこに至るまでの過程は観客が勝手に想像します。

でも、続編を撮ったペク監督の目には「毒戦」はまだまだ描けていない部分があると感じたのでしょう。
(「毒戦」のイ・ヘヨン監督は、「毒戦2」では「ビューティーインサイド」を撮ったペク・ジョンヨル監督に変更になっています。)
そしてペク監督は、まさにこの余白の部分【ヨンサン駅でブライアン理事が瀕死の状態で見つかってから、刑事ウォノが地球の果てにソ代理を追い詰めるまでに起こったこと】を「毒戦2」で描いているわけです。

確かに「毒戦」を観ただけではよくわからない部分がありました。

↓「毒戦」視聴後の感想 

リュ・ジュンヨル演じるラクはなんで捜査に協力することになったんでしょう?その理由が明確じゃないし、必然性がありません。
だって、刑事が追い詰めようとしてるのは自分なわけでしょ?
爆発で死んだのは実の母親じゃないし、犬が理由というのは弱すぎるし、麻薬は彼にとっては辛い思い出に繋がる悪だったわけだし、自分を捕まえてほしかったということなのかな?
だいたい、「イ先生」という組織のトップが誰なのか、誰も知らないという設定も理解できませんでした。誰も知らないトップの存在にみんなが怯えてるって変ですよね。


そうなんですよ。そこがよくわからなかったんです。
その理由が「毒戦2」ではっきりとわかりました。
なぜ警察の捜査に協力していたのか。ソ代理は何を追い求めていたのか。誰を探し、果たさなければならなかった想いとは何なのか。

体にまとわりつく臭いから解放されるために・・・って悲しすぎるでしょ。その恐ろしいほど深い心の闇に胸が痛みました。TT

彼らは行きつくところまで行って、すべてをやり切って・・。
でもそこに何が残ったんだろう。何もかも元に戻すことはできないと悟っただけではないのか。
大勢の人の命が奪われ、そして臭いは消えず。。。
白い世界に「ハレルヤ」の音楽が虚しく響きます。

復讐ほど強い執着はありません。それを果たせば満足できるのか、安らぎを得られるのか。
生きることの虚しさ、絶望感も感じて、辛すぎてその夜は眠れませんでした。

「毒戦2」はあまり評判が良くないようですね。
主役俳優の交代があり、「イ先生」の正体が変わったことで、観客は混乱しました。
冒頭のシーンで、犬につけられていたGPSが外されただけでも「ええっ?」と思ってしまいますよね。
話が世界中に拡がり、複雑すぎて、続編を作ったのは失敗だと感じるかもしれません。私も見始めはそう思いました。
でも「毒戦」のラストに繋がる空白の時間に起きていた様々な出来事を「毒戦2」で知ることで、ラストの銃声が一段と重く感じられ、これでこの映画は完結したのだなと納得できました。



ハン・ヒョジュは、ついこの間見たばかりの「ムービング」で別人のような容姿で登場し驚いたのですが、この「毒戦2」ではそれを上回る汚さ・下品さで中国の麻薬組織の一員を演じています。肉体をムキムキに鍛え、女優業にかける意気込みが今までの彼女からは想像がつかないほどすごいとは思うのですが、果たしてこの方向性が合っているかどうかはわかりません。
どんなに汚い言葉を吐き、相手を容赦なく拷問しても、どこか漂うおっとりした雰囲気までは隠せていないのです。
でも演技の幅を拡げたいという想いは伝わるので、迷いながら行きつくとこまで行ってほしいと思います。
それにしても、彼女が演じたソチョンという人物は、自傷の跡が無数にあり、顏に合わない大きなメガネをかけているのにも意味があるという、とにかくかわいそうな人で、ハン・ヒョジュも演じるのが辛かったでしょうね。

キム・ジュヒョクが演じたチン・ハリムという人物の死体は、ハン・ヒョジュの登場シーンで、彼女によって燃やされていました。着ていた服でハリムだとわかります。ジュヒョクオッパが生きていれば、ハリムという人物も「2」に登場したかもしれないですね。その代わり、回想シーンということでピョン・ヨハンが代役で演じています。ピョン・ヨハンの演技自体はすごみがあってとても良かったのですが、残念ながらジュヒョクオッパが演じたチン・ハリムのような狂気が感じられません。まったくの別人物と言っていいほどで、あえてハリムを登場させる意味はあったのかなと疑問に思いました。
(あれ?今気が付いたんですが、ハリムは元々「イ先生」が誰だか知っていたということですよね。それなのに「毒戦」でハリムは「イ先生に会いに来た」と言ってるし、刑事ウォノはイ先生代理の振りをして彼に会っています。ここは辻褄が合いませんが、最初からハリムはイ先生を名乗る奴を殺しに来てたということだったんですね。そのあたりは「毒戦」を観ただけではわかりません。)

チョ・ジヌン、チャ・スンウォン、パク・ヘジュンなどなど一流の役者たちの演技はもちろんすばらしいし、麻薬製造技術者の聾唖の若者たちも抜群の存在感でした。そして前半にチラリと登場する麻薬工場の班長がヤン・イクチュンだったのには驚きました! ファンの私でもすぐには気が付きませんでしたよ。声も容姿も何もかも、役によって変えてくるんです。役者として天才!^^

ということで、いろいろとハマる要素はたくさんある映画なのでお薦めしたいのですが、もし今から観ようと思われる方は「毒戦」を観てから、「毒戦2」を観ないと話が繋がらないと思います。
でも「毒戦」と「毒戦2」はラストシーンの解釈が変わるので、それぞれ別の映画であることも頭に入れておく必要があります。
なんだかややこしいですが、「毒戦」の制作陣が「毒戦2」の制作に納得しているのであれば、観客はそれを受け入れるしかありません。
どちらの映画も、観客はラストで刑事ウォノと共に最果てのノルウェーの地へと向かうことになります。そこで起きたことを目撃すれば、きっと2本とも忘れられない映画になるでしょう。



by choyon | 2023-12-07 23:07 |  韓国映画(鑑賞順) | Comments(0)

推しは周杰倫、五月天の阿信。新たな推しは許光漢!(推しはたくさんいた方がいい。^^)すべてネタバレあり。独断と偏見に満ちた自己満ブログです。


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