2006年 09月 19日
グッバイ・ソロ
ハルモニは耳が聞こえない。口もきけない。誰からも理解されず責められ、世の中がうるさくてたまらなくなって耳を閉ざした。愛する者を傷つけ、いくら謝っても謝りきれずに口を閉ざした。
それから数十年が過ぎても、ハルモニは世間の音が聞こえない世界で生き、声を発することはない。
やくざは近頃、人を痛めつけているとき、少年時代の自分が見えることがある。「父さん、許して。怖いよー」と泣きながら、自分に向かって手を合わせている少年が見えて、思わず人を蹴り上げる足を、殴りつける拳を止めてしまう。そして「俺も歳をとったな」と思う。
女は自分の過去を消してしまった。この頃、妙な子どもが自分のまわりをうろうろしている。薄汚い少女、友達のお金を盗む中学生。会いたくない子たちなのに、いつも自分の目の前に現れる。「いったいどこの子なの?名前を言いなさい!」と怒鳴ると、その子たちはなぜか女の名前を言う。
過去に囚われ、過去から抜け出せずに、壁を作り、幸せになることを諦めて生きている人たちがいる。
たった一人の人でもいいから、自分を理解して、後ろから抱いてくれる人がいれば、人は幸せになれるのだろう。けれども、本当に理解されたいと思う相手は、他人ではなく自分自身なのかもしれない。
自分を責め、自分を傷つけ、自分を許すことができずに、誰が自分を理解してくれるというのだろうか。
「あなたは十分に傷つき苦しんだ。あなたは何も悪くない。すべてしょうがなかったの。幸せになっていいんだよ」
その言葉を自分自身にかけることができれば、人はもっと素直に人との交わりの中で生きていけるのかもしれない。
耳が聞こえなくなったり、口がきけなくなってる私は、ハルモニのような覚悟もできないまま、中途半端にもがき続けてる。外の世界を拒絶して生きてきたハルモニは、自分の主張を一切せずに、天使のような微笑で、人を愛し受け止める存在に自分を昇華してしまった。
ハルモニを見てると涙が止まらない。ハルモニのようになれない自分がつらくてしょうがない。ハルモニに癒され、ハルモニに慰められ、それでもまだ自分の殻から抜け出せない私がいる。自分自身すらも受け止め切れない私がいる。
「グッバイ・ソロ」はノ・ヒギョンが私のために書いたドラマです。
by choyon
| 2006-09-19 00:02
| 韓国ドラマ(鑑賞順)
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